Hibワクチンについて

Hibとは?
 Hibとは、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae B)という細菌のことです。インフルエンザというと、一般的に冬に流行するインフルエンザを思い浮かべると思いますが、こちらはウィルスで別のものです。Hibが発見されたときにインフルエンザ感染者から発見されたため、「インフルエンザ菌」という名前がつきましたが、全然別のものですので混同しないようにしましょう。Hibという細菌は、ヒトからヒトへ飛沫感染し、鼻咽腔に保菌され、これが病原菌となって、肺炎や喉頭蓋炎、敗血症、細菌性髄膜炎などの重い病気を引き起こします。なかでも細菌性髄膜炎は予後が悪い病気です。
細菌性髄膜炎とは?
 細菌性髄膜炎とは、細菌が脳や脊髄を覆う髄膜に進入し炎症を起こす感染症で、日本では、年間約1,000名が罹患していると推定されています。その原因になる細菌の6割強がHibです。約2割が肺炎球菌によるものです。Hibによる髄膜炎は多くの場合が生後3ヶ月から5歳になるまでの子どもたちがかかります。特に2歳未満のお子さんにもっとも多いので、要注意です。Hib髄膜炎にかかると発熱、頭痛、嘔吐、不機嫌、けいれんなどのかぜのような症状がみられ、そのうちの約5%は死亡、約25%に後遺症(聴覚障害、発達遅延、神経学的障害など)がみられます。細菌性髄膜炎の早期診断は非常に難しく、また近年、特にHibの薬剤に対する急速な耐性化(薬剤が効きにくくなる)が確認されており、難治療例の増加が指摘されています。重篤な予後、早期診断の困難さ、薬剤耐性菌の出現という状況からすれば、予防が非常に重要な疾患といえます。

Hibワクチンとは?
 Hib髄膜炎を予防する為に開発されたのが、Hibワクチンです。1987年に米国で使用開始され、定期接種化した諸外国では、導入後、Hib感染症の罹患率が激減しています。世界保健機関(WHO)では、1998年にHibワクチンを乳幼児への定期接種ワクチンに推奨し、現在までに世界120カ国以上で導入されており、それらの国ではHib髄膜炎は、すでに過去の病気となっています。
 Hibワクチンは非常に有効なワクチンで、世界の多くの国が定期予防接種としていますが、残念ながら日本では採用すらされていませんでした。それが平成20年12月から日本でも接種可能となったのです。現在は定期接種の扱いではありませんが、法定外予防接種として、行政の補助金で当地区では、生後2か月から5歳未満までの対象者は、無料で接種できます。
 Hibワクチンの接種法は、標準では、2ヶ月以上7ヶ月未満で初回免疫3回(4〜8週間隔で)おおむね1年後に1回の追加接種を行います。(DPTワクチンとの同時接種が認めれれています。)接種開始が遅れた場合、7ヶ月以上12ヶ月未満の場合、初回免疫2回と追加接種1回、1歳以上5歳未満では通常1回のみの接種になります。
 Hib感染症から子供を守るために、5歳未満のお子さんには是非Hibワクチンを接種しましょう。